根拠のない自信？

海人とぉちゃんがうみくんと一緒にお風呂に入った日のことです。

「あいつさー、芸をやるらしいぜー」

と、お風呂上りの海人とぉちゃんが

母にそっと、耳打ちをしました。

海人とぉちゃんからの思いがけない話に

「えー！！芸って何ー？」と

思わず声を張り上げてしまった母。

何食わぬ顔で

洗面所からリビングに来たうみくんは

「芸ってさー、お楽しみ会のやつだよ」

と、母に言いました。

「お楽しみ会？？芸？？」

と、益々、話の流れがつかめない母。

「もうね、三年生のクラスとお別れになるでしょ？」

「だからね、みんなでお楽しみ会をするんだよ」

「その出し物でぼくさー、お笑いをやろうと思って」

「そのネタを何がいいか、とぉちゃんとお風呂で話してたんだよ」

と、母に分かりやすく説明しました。

「へぇー、そうなのー」

「で、誰とやるの？」と、母が言うと

「えっ、？ぼく、ひとりだよ」と、うみくん。

「えー、ひとりー？」と、またまた、声を張り上げた母。

「えっ？なんで？ひとりじゃいかんの？」と、うみくん。

「いかんわけじゃなくてさー、お母さんはできんなーと思って」と、母。

「おれも、できんなー」と、海人とぉちゃん。

その、二人の言葉に

「そう？ぼくさー、少し面白い自信あるんだよねー」と言うと

ニヤリと笑いました。

－おしまい－

環境に馴染むまでに人一倍時間を要し

人ごみや人の集まるところが大の苦手だったうみくんが

ひとりでお楽しみ会の出し物をする、ということにビックリの母。

クラスのお友達の中でひとりで出し物をするのは

うみくんだけのようです。

さらに、出し物をする子も限られていて

やらない子も多いのだそうです。

そして、少し笑いをとる自信もある、と言ううみくん。

この、根拠のない自信がどこからくるのでしょうか・・・。